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ディア・フレンド

公開済みストーリー・相関図

公開済みストーリーをYouTubeで公開中!!

1章 少女N

2章 なんてったって……

3章コードマン総選挙!

4章 ディア・フレンド-第1話~第2話

相関図

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第4章 ディア・フレンド 第3話

  ――声が響く。


「――プレイヤーのライフに
  アタック!」

  キィランの攻撃が、
  ノノインのライフを削る。
  苦痛に顔を歪める
  ノノイン。


「きゃ……っ!!
  …………うぅっ、
  きぃにゃん
  どうして……」

キィラン
「――ごめん。でも
  これがののっちの為なんだ」

ノノイン
「わたしの、為……?
  意味が分からないよ……」

  ノノイン、キッと
  キィランを見据えて。

ノノイン
「だって!!
  わたしはトップアイドルに
  なりたいんだよっ!?
  その為にはエレメントは
  必要なものなのっ!!」

ノノイン
「これがあればわたしは
  もっともっと
  素敵なアイドルになれるっ!
  なのに、なのに……っ」

ノノイン
「お願いだから、
  邪魔をしないで!!
  きぃにゃんっ!!!!」

キィラン
「……分かってる。けど……
  私は嫌われても構わない。
  私は……君を守る為なら
  なんだって――……!」

〇[キィランの回想]公園(夜)

  街灯の下で、ブラッドから
  話を聞いているキィラン。


「――実の所、
  エレメントについては
  まだまだ謎が多い。
  しかしながら…………」

  ブラッド、神妙な表情で、
  さもノノインの心配を
  しているふうに。

ブラッド
「私の研究では、『エレメント
  がある臨界点まで達すると
  コードマンは壊れてしまう』
  という事が分かっています」

  驚くキィラン。

キィラン
「壊れる…………ッ!?」

ブラッド
「イコール、死……。
  いつぞやの大会で
  壊れてしまった
  コードマンの様になって
  しまうと言う事です」

ブラッド
「どうもAIプログラムと
  発達する感情、ふたつの
  バランスが取れなくなって
  しまうらしい」

ブラッド
「ノノイン・ニルオン……。
  コードマンなのに
  涙を見せたとか。
  これは、危険な兆候ですよ」

キィラン
「…………!」

  コードマン総選挙で見せた、
  ノノインの涙を思い出すキィラン。

ブラッド
「AIとしてはあり得ない。
  素体にそのような機能(オプ
  ション)など装備されて
  いないのですから」

ブラッド
「このままエレメントを
  溜め続ければ……
  ――彼女は確実に
  壊れます……!」

〇[回想終わり]廃工場

  キィラン、覚悟の表情で。

キィラン
「――ののっちが壊れるなんて
  そんなの絶対に嫌だッッ!!
  だから、この勝負
  勝たせてもらうッッ!!」

ノノイン
「………………ッ!」

【プレイヤー】
「こっちだって、
  負けるわけにはいかない!」

  ノノインは、【プレイヤー】の
  言葉に励まされる。

ノノイン
「【プレイヤー】さん……。
  そうだね。だってあの時
  ふたりで決めたもんね……」

〇[ノノインの回想]バトル会場・控室前の廊下

  コードマン総選挙の折、
  【プレイヤー】と決意を
  固めた時の
  記憶を振り返る。
  ノノイン、
  真剣な表情で。

ノノイン
「わたしのわがままに
  【プレイヤー】さんを
  巻き込んでいいのか……
  迷ってはいる。
  だけど……」

ノノイン
「――この想いは
  止められないの」

ノノイン
「お願い、
  【プレイヤー】さん……。
  どうかわたしに……
  付き合って、
  もらえませんか…………?」

〇[回想終わり]廃工場

  負けられないのはノノイン
  も同じ。覚悟はもう
  とうにできている。

ノノイン
「あの時、
  【プレイヤー】さんは
  わたしの無茶に
  付き合ってくれる
  って言った」

ノノイン
「ザ・ゼノンは危険な大会。
  だけど、やる。
  わたし達は
  そう覚悟を決めた」

ノノイン
「だから……
  後戻りなんかできない、
  しない……!」

ノノイン
「それに、エレメントが
  本当に危険なものなら
  わたしだってそれを
  きぃにゃんに
  渡すコト出来ない!」

ノノイン
「――ミニオンちゃん、
  決めちゃってぇっっ!!」

  ノノインのターン。
  今度はキィランのライフを
  削るノノイン。

キィラン
「ぐぅ……ッッ!!」

  そこに、突然男の声。

ブラッド
「――フフフ……っ。
  面白いですねぇ。
  AIが、人間の様に
  お互いの事を想い合い
  信念をぶつけ合わせて
  いるなんて――」

  ビホルダーグループ
  科学部統括を務める
  ブラッド・キャンベル。

ブラッド
「……これも、エレメントの
  高まりが影響しての事
  でしょうかね……?」

ノノイン
「あなたは……?」

ブラッド
「お初にお目にかかります。
  ……と言っても、私の方は
  貴方の事をよぉく知っている
  んですがね……」

  ブラッドの突然の登場を
  訝しむキィラン。

キィラン
「DR.ブラッド…………!
  何しにここへ――……?」

ブラッド
「様子を観に来たんです
  ――この『殺し合い』
  のね……!」

  ブラッドの言葉が理解
  出来ず、呆然とする
  キィランとノノイン。

キィラン
「……………………は?」

ノノイン
「殺し合い……!?
  ……って、何なの?」

  ブラッドは、不安がる
  ノノインの表情を見て、
  思わず笑みを漏らす。
  ノノインは焦り、彼から
  答えを引き出そうと
  声を荒げた。

ノノイン
「ねぇ、教えて!
  殺し合いって
  どーゆーコト!?」

ブラッド
「良い……!
  昂っていますね。
  エレメントが輝きを
  増しているのが解る……」

ノノイン
「……!?
  何言ってるの――」

ブラッド
「ノノイン・ニルオン……
  私は、貴方をずっと
  観察してきた」

ブラッド
「貴方のエレメントの
  溜まり方は特殊だ」

ブラッド
「別の職業に憧れを抱き
  本来の役割を捨てる
  など……。
  ザ・ゼノン参加前の
  コードマンが
  出来る芸当ではない」

ブラッド
「つまり貴方は、
  それ以前から
  他のコードマンの平均を
  大きく上回るエレメント
  を保持していた……!!」

ブラッド
「貴方は非常に
  面白い素材だ……!」

  観察対象のAIとして
  見られている事に、
  嫌悪を覚えるノノイン。

ノノイン
「……古参のノノラーさん
  ってコトは分かったけど
  ののっちが知りたいのは
  ソコじゃないの」

ノノイン
「殺し合いって、何?」

ブラッド
「……ククッ。
  アウロスギアをもう一度
  確認してみるといい」

  その言葉にハッとする
  キィラン。

キィラン
「まさか――――……ッ!!」

  ノノインとキィランは、
  アウロスギアを開く。
  その画面には――……

『ノノイン・ニルオンVS
  キィラン・カッチラム』

『エレメントを100%ベット
  制限時間(リミット)25分
  リタイア不可』

  愕然とするノノインと
  キィラン。

キィラン
「エレメントを
  100%ベット……!?
  全賭け……!?
  なんで……!?」

ノノイン
「そんな……
  バトル前はこんな設定じゃ
  なかったはず……!!」

ブラッド
「キィラン・カッチラム、
  貴方のアウロスギアに
  細工させてもらいました」

ブラッド
「強制ゼノンザードを
  可能にするプログラムとは
  別にもうひとつ……」

ブラッド
「――エレメント100%ベット
  に変更するプログラムを
  追加したおいたんです」

  自分がまんまと騙された
  事を知り言葉を失う
  キィラン。

キィラン
「…………ッッ!!」

ブラッド
「エレメント過多で
  コードマンが壊れる事例など
  存在しない。あれも嘘です」

ブラッド
「ハハハッ……!
  感謝しますよ」

ブラッド
「貴方が勝手に不安がって
  エレメントに不信感を
  抱いてくれたお陰で
  このバトルを
  セッティングする事が
  出来た」

ブラッド
「この殺し合い(デスマッチ)
  をね……!」

キィラン
「……………………!!」

  ノノイン、混乱しながら
  【プレイヤー】に。

ノノイン
「ど、どうにか
  できないの……!?
  棄権とかリタイアとか!」

  それを嘲笑うブラッド。

ブラッド
「このバトルのルール上
  不可能です」

ブラッド
「どちらかがどちらかの
  ライフをゼロにしない
  限り、このバトルは
  終わらない……」

ブラッド
「必ずどちらかは
  エレメントゼロの素体と
  なるのです……っ!!」

  その笑みは、狂気すら
  感じる程で。
  一方キィランは、
  自責の念に駆られ
  呆然としたまま。

キィラン
「わ、私のせいで…………」

ノノイン
「きぃにゃん……!」

  ブラッド、
  大仰に両手を広げて。

ブラッド
「――さあ、勝負の続きを」

ブラッド
「……ああ、
  故意の遅延行為は
  止めてくださいね?
  その場合の
  ペナルティは……」

ブラッド
「大親友の死、というルールに
  設定していますので」

//END

 

第4章 ディア・フレンド 第4話

  ブラッドに仕組まれた
  殺し合い(デスマッチ)を
  続けているノノインと
  キィラン。
  苦渋に満ちた表情。
  プレイングの手付きが鈍い。


「…………ドロー。
  ミニオンで、
  フォースにアタック……っ」


「――――ッ!!」

  キィランのフォースが
  片方落ちる。
  ノノイン、キィランを
  心配して。

ノノイン
「きぃにゃん……っ」

キィラン
「……いいんだ、こうするしか
  ないんだから……」

ノノイン
「……っ、
  ターンエンド……!」

キィラン
「…………くっ……。
  このままバトルを続けても
  どの道…………っ」

  このバトルから逃げたら、
  決着が着いてしまったら、
  どちらか片方が死……
  エレメントゼロと
  なってしまう。
  死の瞬間を先延ばし
  するように、
  自分達はプレイを
  続ける他ない。

キィラン
「くそぉ……ッ!!
  ドローだ!」

  素体の奥底から湧いてくる
  様々な感情を抑え、
  親友と自分の延命を
  続けるキィラン。

ノノイン
「……どうして、
  こんな事を……っ!」

  大親友を騙し、苦しめる
  張本人を睨みつける
  ノノイン。


「フフフッ……
実に面白い……!!」

ブラッド
「AI同士の『友情』!!
  エレメントは
  様々な可能性を
  見せてくれる!!」

  ノノインの隣で、同様に
  ブラッドを睨みつける
  【プレイヤー】。

【プレイヤー】
「お前の為の
  見世物じゃない!」

ブラッド
「そうですね。このショーを
  仕組んだのは私自身。
  客ではなく興行主
  なのだから」

キィラン
「気取った言い方を……!」

ブラッド
「フフ……、失礼。
  研究者として研究対象の
  観察の場を
  整えただけですね」

【プレイヤー】
「研究対象……。
  『物』扱い……」

ブラッド
「……こんな素敵なショーを
  開催できたのは貴方が
  騙されてくれたから。
  感謝しますよ、
  キィラン・カッチラム……」

キィラン
「………………ッッ!!!」

  この状況は、ブラッドの
  言葉を信じてしまったが
  ために起こってしまった。
  挫けそうになるキィラン。

キィラン
「ごめん……
  ごめん、ののっち……っ!
  私のせいで
  こんな事に……っ!!」

ノノイン
「違うよ、
  きぃにゃんの
  せいじゃない!」

  必死に否定するノノイン。
  ノノインは、キィランが
  男の嘘を信じてしまった
  理由を知っている。

ノノイン
「だって、わたしを
  心配してくれたから
  強制ゼノンザードしようと
  思ったんでしょ!?」

ノノイン
「こんなコトになるなんて
  思ってなかった
  んでしょ!?
  なら、悪いのは全部
  あのヒトじゃんっっ!!」

ノノイン
「ブレッドさんだか
  フラットさんだか
  忘れましたけど!!!!
  どーしてののっち達を
  こんな目に遭わせるの!」

ノノイン
「危ないノノラーさん
  だとしても
  なんできぃにゃんまで
  巻き込むの!?!?」

  ノノインの必死の
  叫びに反して、
  ブラッドはずっと余裕の
  ある笑みのまま。
  ノノインは、
  もう一度訴える。

ノノイン
「答えてっっ!!!!」

  潤んだ瞳。
  真に迫った表情。
  ブラッドはそれを見て、
  満足そうに目を細める。

ブラッド
「――視た事のない
  ノノイン・ニルオンを
  視てみたい。
  だからですよ」

ノノイン
「みたコトない、
  わたし……?」

  予想だにしなかった
  答えに戸惑う
  ノノイン。

ブラッド
「エレメントは未知数だ。
  世界最高峰の研究施設を
  持ってしても、
  その実態の大部分は闇に
  包まれたままだ」

ブラッド
「見えない部分を、
  私は解き明かしたい」

ブラッド
「君のように感情豊かな
  コードマンでも、敗北し
  エレメントゼロになって
  しまったら、あの
  セネト・ロールダイスの
  ようなAIになってしまうの
  だろうか?」

ブラッド
「反対にこの勝負に勝ち、
  キィラン・カッチラムの
  エレメントが全て
  移行されたら
  今よりも感情が発達した
  コードマンになるのか?」

ブラッド
「どちらに転ぶかは
  分からないが――……
  ……ずっと視てきたんだ。
  だから、もっと視たい。
  貴方のあらゆる面を……」

ブラッド
「ノノイン・ニルオン、
  君のエレメントの輝きを
  もっとよく
  視せてくれ……!」

ブラッド
「君の言う……
  『キラキラしたもの』
  を…………ッ!!!!」

  独り、楽しそうに
  語るブラッド。
  ノノインには、
  理解出来ない。

ノノイン
「……こんな辛くって
  苦しい気持ち…………
  キラキラじゃない……っ!」

ノノイン
「キラキラは――……!
  もっと尊くて、愛しくて、
  綺麗な…………
  心の奥の、力になる、
  そんな気持ちなの……!」

ノノイン
「こんな卑怯なコトする
  あなたなんかには、
  絶対に理解
  出来ないよ……!!」

ブラッド
「ハハハッ。
  例えどんなに醜い感情でも
  エレメントの輝きは
  私にとっては
  最高のショー……」

ブラッド
「貴方が感じ、考え、
  行動する――
  その全てが、私にとっての
  『キラキラ』ですよ」

  それもエレメントが
  溜まったせいなのか……
  ノノインは、ブラッドに
  初めての感情を――
  『嫌悪感』を覚える。

ノノイン
「……ののっち、
  こんな厄介さんは
  初めてだよ……」

  ノノインのその侮蔑の
  表情すら、
  新たな発見として
  喜びを感じる。
  ブラッドの余裕は
  全く崩れない。

ブラッド
「……さて、
  いいんですか?
  制限時間を気にしなくて。
  ペナルティが
  発動しますよ?」

ノノイン
「くっ…………!!」

ブラッド
「諦めないで、最後まで
  踊ってみせてくれ。
  アイドル、
  ノノイン・ニルオン――」

  ノノインは歯噛みしつつ
  この研究者の計画から
  どうにか逃れる方法は
  ないか、考える。

ノノイン
(きぃにゃんが死ぬなんて
  絶対嫌…………
  トップアイドルを
  諦めるのも絶対嫌……)

ノノイン
(何が出来る……?
  どうしたらふたりとも
  助かる…………?
  何が正解…………!?)

ノノイン
(分からない
  よぉ……っっ!!)


「――うんざりよね?」

  ――と、
  ノノインの内部から
  女の声がした。

ノノイン
(……えっ?)

???
「人間は、愚かで身勝手」

  優しい声色で、
  ノノインに
  同情するかのような
  ニュアンスの語り。

ノノイン
(えっと……?
  あなたはだれ……?)

???
「貴方はもっと貪欲に、
  人間の狂気を――
  エレメントを
  集めなさい……」

ノノイン
(ねぇ、あなた
  誰なの――……?)

???
「――さあ、早く……!
  運命の切り札を、
  手繰り寄せるの――……!」

  と、突然破壊音が
  響いて、ノノインと
  謎の声とのやり取りが
  途切れる。
  ハッとし、外界に
  意識を戻すノノイン。

ノノイン
「今のは……!!
  ってか!!
  何あれっ!?」


「……………………」

  破壊音は、
  このAIが壁に
  大穴を開け乱暴に
  入室した音だった。
  思わず身構える
  キィラン。

キィラン
「ビホルダーの対戦用AI!?
  いや、
  でもなんか違う……!?」

ブラッド
「――プロトタイプ!?
  何故ここに!?」

  驚くブラッド。
  この事態は彼さえも
  不測の事態という様子。

  と、アウロスギアの
  電子音が続けて鳴る。
  咄嗟に画面を見る
  ノノインとキィラン。
  そこには――

『ノノイン・ニルオンVS
  キィラン・カッチラム、
  実行中のバトルプログラム
  を確認』

『ノノイン・ニルオンVS
  プロトタイプNo.012に
  切り替えます』

ブラッド
「何だと……ッ!?」

『上書き完了
  ノノイン・ニルオンVS
  プロトタイプNo.012を実行
  エレメントを100%ベット
  ザ・ゼノンを承認――』

ノノイン
「今度は別の
  強制ゼノンザードっ!?」

  ブラッドによる
  キィランとのデスマッチ
  が立ち消え、
  今度は闖入者との
  殺し合いが設定された。
  ノノインもキィランも、
  ブラッドさえも
  突然の展開に
  驚きを隠せない。

キィラン
「ののっち……!
  これは一体…………!?」

  ――ただ一人を除いては。

【プレイヤー】
「これでキィランと
  戦わなくてすむ!」

ノノイン
「そ、それは
  そうだけど!
  でもそれどころじゃ
  ないよ~~っ!?!?」

  思わず突っ込んでしまう
  ノノイン。

ノノイン
「またエレメントは
  全賭けだし、
  これに勝たないと
  ののっちは…………っ」

【プレイヤー】
「でも、あいつになら
  躊躇しなくていい!」

ノノイン
「………………!!」

  その心強い一言に
  ノノインは押されて。

ノノイン
「……そう、だね!
  やるよ、わたし。
  あいつと戦う」

キィラン
「ののっち……!」

ノノイン
「逃げられないんだもん。
  だったら、
  立ち向かうしかない」

【プレイヤー】
「やろう! ののっち!」

  大親友との殺し合い
  から解放され、
  吹っ切れるノノイン。

ノノイン
「もーなにがなんだか
  分かんないコト
  ばっかだけど!!
  ここはひゃくぱーで
  行くよっ♪」

  今までの鬱憤を
  晴らすように叫び、
  【プレイヤ―】と共に
  アウロスギアを
  構える。

ノノイン
「本気のゼノンザード……
  ラブ・イグニッションっ!
  ふぁいやーーっっ!!!」

//END

 

第4章 ディア・フレンド 第5話

  プロトタイプと、
  ノノインの戦いが
  終わった――。


「……………………」

  敗者ががくんと
  崩れ落ちる。
  勝者は喜びを
  滲ませ呟いた。


「勝っ、た…………!!」

【プレイヤー】
「やった……!!」

  ノノインと【プレイヤー】
  は、思わず喜びの笑顔で
  お互いを見る。
  そこへ飛び込んでくる
  キィラン。


「――――ののっちっ!!」

キィラン
「ごめん、
  私のせいで……!」

キィラン
「でも……
  本当によかった……っ」

  緊張の糸が解けたのか
  ノノインを抱きしめ
  「よかった、よかった」
  と何度も呟くキィラン。
  ノノインもホッし、
  優しく微笑む。

ノノイン
「きぃにゃん……」

キィラン
「ずっと不安だった……。
  ののっちがエレメントを
  溜めていくにつれて
  コードマンじゃなく
  なっていくのが……」

キィラン
「怖くて、
  どうにかしなきゃ
  って思って……
  ののっちを守らなきゃ
  って思って……っ」

キィラン
「そんな勝手な思い込みに
  付けこまれて……私……
  ののっちの夢の邪魔を
  してしまった…………」

ノノイン
「謝らないで、
  きぃにゃん」

  今にも泣きそうな
  キィランをノノインは
  優しく抱き返す。

ノノイン
「……わたし、
  自分が成長していく
  のが楽しくって、
  きぃにゃんがそんな風に
  悩んでるコト
  気が付かなかった」

ノノイン
「親友のくせにさ……」

ノノイン
「もっと早く気付いてたら
  きぃにゃんを
  不安になんか
  させなかった」

ノノイン
「あんな悪いおじさん
  からも
  守ってあげられた」

ノノイン
「ごめん……!」

ノノイン
「でも……
  心配してくれたコト
  すごく嬉しかった……」

キィラン
「ののっち……!」

  その様子を、微笑ましく
  見守っていた
  【プレイヤ―】。

ノノイン
「【プレイヤー】さんも」

ノノイン
「辛いバトルに
  付き合ってくれて
  ありがとう…………」

  【プレイヤー】は
  首を横に振り
  明るい笑顔で答える。

【プレイヤー】
「マネージャーだからね!」

  ノノインは、一瞬
  ぽかんとしてから
  ぷっと吹き出す。

ノノイン
「……あははっ。
  【プレイヤー】さん
  ってばいつの間にか
  ののっちもびっくりする
  くらい成長してたんだ」

ノノイン
「ありがと、わたしの
  マネージャーさん……!」

  と、突如思い出し
  ハッとするノノイン。

ノノイン
「――――あ!
  そういえばあの人は??」

  きょろきょろと周囲を
  見回すノノイン。
  先程まで自分達を
  窮地に追い込んでいた
  人物の姿を探して。
  しかし――

キィラン
「DR.ブラッド――……
  いなくなってる……!?」

〇路地裏

  身を隠すように
  走り込んできた男。
  ブラッドだ。


「……くっ、
  あと少しで…………」

ブラッド
「あと少しで……
  もう少しで視られた
  と言うのに……!」

ブラッド
「ノノイン・ニルオンの
  果てを…………!!」

ブラッド
「――プロトタイプを
  使ってまで、
  私の邪魔をするとは」

ブラッド
「恨みますよ――……
  副社長……ッッ!!」

  ――その一室。
  時代錯誤な紙煙草を
  燻らす男。
  同じ部屋に佇む男は
  その臭いに顔を歪め、
  咳払いをする。
  煙草の男は小馬鹿に
  するように、ハッと
  短く笑うと
  灰皿に揉み消した。


「……ご苦労だったな」


「いえ。プロトタイプの
  手配くらい……」

ハロルド
「あいつもこれに懲りて
  アイドルの追っかけ
  じゃなくって
  本業に身を入れて
  貰いたいねぇ」

  ブラッドの『観察』を
  皮肉って嗤うハロルド。

ハロルド
「……にしても、
  存外やるもんだな。
  あのお嬢ちゃん」

ハロルド
「ノノイン・ニルオン、
  だっけか?」

ハロルド
「いいねぇ、アイドル。
  ゼノンザードも
  そこそこやれんだろ?
  ウチの大会、ザ・ゼノン
  を盛り上げてくれそうだ」

マックス
「…………………………」

  ハロルドは天井を
  仰ぐように黒革の
  椅子にもたれる。

ハロルド
「――ザ・ゼノンは、
  コードマンがどう進化
  するか見守る為の檻……」

ハロルド
「偶然生まれてしまった
  我々が持て余す程の
  プログラム……、
  超高密集積演算対応式
  似人型AIコードマン」

ハロルド
「――あれが人類への
  恩恵なのか、はたまた
  パンドラの箱なのか……
  俺達はまだ何も知らない」

ハロルド
「ビホルダーグループが
  甘い汁を吸い続ける為には
  ザ・ゼノンを安定的に
  運営していかなきゃ
  なんねぇ」

マックス
「……ですね。
  だからあの事故も
  封殺した」

  ハロルドが醸し出す
  空気から『話題』を
  悟り、流すように
  返事をするマックス。
  それを分かった上で
  続けるハロルド。

ハロルド
「お前さんのような
  有能な男が、あのジジイの
  言い成りになってるのは
  全く以て不思議だよ」

ハロルド
「表舞台には出ず、
  ずっと得体の知れん
  モンを追いかけて……」

ハロルド
「――『ゼートレート』」

  自分も会長への苦言を
  呈した、なんて事に
  されては困る。
  マックスは
  退室しようとする。

マックス
「……副社長、
  ここで失礼させて
  もらいますよ――……」

  が、その台詞は
  遮られる。

ハロルド
「――マックス、
  俺の元へ来い。
  お前も高い所は
  好きだろう?」

ハロルド
「――一緒に俺達の
  ビホルダーを
  作り直さねぇか……?」

  マックスが
  返答しないまま、
  暫く無言の時が
  流れ――。

〇どこか、高層ビルの屋上

  扇子が横一閃、
  ピッと空気を切る。
  舞いのような所作。
  男が一人、眼下に広がる
  幾千万の光の中に
  浮かび上がる。


「――清水の元から
  いつもの通り
  駒下駄の音高く……」

ヨルスケ
「カランコロン、
  カランコロン……」

ヨルスケ
「『狂気』が高まったの
  ならば、
  ののっちは逢えた
  のかなァ……?」

ヨルスケ
「―――彼女に……」

  男は、苦苦ッと
  楽しそうに
  笑った――。
  

//END

 

第4章 ディア・フレンド 第5.5話

〇バトル会場

  仁王立ちするノノイン。
  むぅ、と唸りながら
  会場を睨んでいる。


「ザ・ゼノン…………。
  うむむ~~~……!」

  その隣でキィランも
  難しい顔。


「まあ、
  考えちゃうよね……。
  このまま出場し
  続けるべきか……」

キィラン
「あんな事があっても
  私達には目的がある。
  だからザ・ゼノンには
  出続けたい……。
  でも……」

キィラン
「あんな目に遭わされて、
  それでもビホルダーの
  掌の上で踊り続けなきゃ
  いけないっていうのは
  なんかシャクだよ」

【プレイヤー】
「そうだね……」

  キィランと【プレイヤー】
  は、そのまま
  会場を眺め続ける。

キィラン
「結局あの後から
  何の音沙汰もないね。
  あの、ブラッドって人。
  また接触してくるんじゃ
  ないかと思ったんだけど」

ノノイン
「……………………」

キィラン
「ののっちの事、観察対象
  って言ってたけど、
  危ないファンみたい
  だったね。執着、
  凄かったもん」

ノノイン
「……………………」

  キィラン、グッと
  拳を握り
  決意の表情で。

キィラン
「……今度また同じような
  起こっても、
  もう絶対間違えない……
  ――ののっちを守るんだ」

【プレイヤー】
「ののっちも、一段と
  気を付けなきゃだよ?」

  と、ノノインの方を見る
  二人。
  が、ノノインには
  キィランと【プレイヤー】
  の言葉が
  聞こえていなくて。

ノノイン
「むぅぅ~~~~ん……」

キィラン
「の、ののっち?」

【プレイヤー】
「何を悩んでるの?」

  二人でノノインの
  顔を覗きこむ。

ノノイン
「わっ!
  あ、ごめんごめん!
  ちょっと考え事してて!」

ノノイン
「――ノノラーに
  キラキラを
  おすそわけする存在として
  さ……」

キィラン
「???」

ノノイン
「えっとね! ザ・ゼノンは
  アイドルのライブと同じ
  だと思うの。
  わくわくキラキラの
  ショー!」

ノノイン
「そんなザ・ゼノンが実は
  ドロドロしてるなんて、
  ゼノドルののっちとしては
  ありえな~~いっっ!!
  って思って!!」

キィラン
「そう、だね……。
  純粋にザ・ゼノンを
  楽しみにしている人達に
  失礼だもん……」

キィラン
「――正々堂々と戦えない
  大会なんて」

  【プレイヤー】も
  キィランと一緒に
  神妙な顔になり頷く。

ノノイン
「だからわたし、
  考えたの!」

ノノイン
「わたしが、
  ザ・ゼノンをキラキラ
  させられないかって!」

キィラン
「えっ??」

  驚くキィラン。
  それを少しも気にせず、
  希望に輝く瞳で、
  ノノインは続ける。

ノノイン
「わたし、ゼノドルとして
  表舞台から
  ザ・ゼノンを
  変えていきたいっ!」

ノノイン
「だからつまりね!
  闇は光で照らせば消える!
  ののっちのキラキラで
  ザ・ゼノン全体を
  照らすの♪♪ ドヤッ☆」

  突拍子もない提案。
  しかし、その底抜けに
  明るいノノインの表情・
  言葉が、キィランと
  【プレイヤー】の胸に
  響く。
  だがいくら明るくとも
  ビホルダーと戦っていく
  宣言には変わりない。
  キィランはまた神妙な
  顔付きに戻り、そして
  確かめるように尋ねる。

キィラン
「……厳しい事
  言うようだけど、
  それって途方もないよ?
  相手はビホルダーグループ
  な訳だし」

キィラン
「――それでも、やるの?」

  答えはすかさず
  返ってきた。
  迷いをおくびにも出さない
  真っ直ぐな答え。

ノノイン
「モチのロン☆
  今回の色々でののっち、
  火が付いちゃったもん」

ノノイン
「コードマンを実験台と
  してしか見てない
  ビホルダーの人達を
  見返すのっっ!!」

ノノイン
「その為にっ!!
  ザ・ゼノンを
  制覇するよっ!!」

キィラン
「ののっち……」

ノノイン
「大きな目標だけど、
  全部変えるには
  てっぺん獲るくらいの
  気持ちでいかなくちゃ!
  そー思わない??」

キィラン
「…………ふふっ。
  そういう覚悟が
  あるなら……」

  【プレイヤー】と顔を
  見合わせるキィラン。
  どうやら大親友と
  専属マネージャーの意思は
  同じ模様で。

キィラン
「私達も、
  とことん付き合う!」

【プレイヤー】
「これからもののっちの
  隣を歩いていくよ!」

  頼もしい返答が
  嬉しくて
  ニコッと微笑む
  ノノイン。

ノノイン
「【プレイヤー】さんの
  コトバがあると、
  安心するな~……♪

ノノイン
「多少無茶カナ?
  って思っても
  頑張れる、
  そんな気がするの……」

  今までは自分の夢の為に。
  これからは、夢を与える
  為に。
  新しい決意をした
  ノノインの、新しい
  希望に満ち溢れた表情。

ノノイン
「――頑張ろう、
  【プレイヤー】さん。
  ザ・ゼノンを
  変える為に……!」

  その表情に、
  【プレイヤー】は
  どきりとして。

  ノノインは見抜いたのか、
  くすっと笑う。

ノノイン
「ふふふっ☆
  それじゃあ決意も
  新たにっっ!
  バトルへと
  向かいますか~♪♪」

  からかうように
  駆け出していく。

ノノイン
「【プレイヤー】さん、
  きぃにゃん、
  置いてっちゃう
  よ~~っっ♪♪」

キィラン
「ああっ!
  待って、
  ののっち~~!」

  会場へと駆けていく
  ノノインを、
  【プレイヤー】は
  キィランと共に
  追いかけるのだった――。

〇ビホルダーグループ本社

  ――その最上階。
  椅子に身を預け、
  宙に浮かぶ映像を
  眺めていた様子の
  男が一人呟く。


「そうか、コードマン達は……
  一つの例外なく、
  向かおうというのか。
  彼女の手の指し示す
  先へと…………」

  タクトを振るうように
  軽やかに手を翻す男。
  主の動きに合わせて
  宙に浮かぶ映像が
  100以上に展開される。
  ひとつひとつの映像に
  映し出されるのは、
  今、この瞬間を
  戦い抜いている
  全てのコンコードと
  コードマン達。

サムラ・ビホルダー
「それこそが我らの
  求めるもの、
  そして同時に何よりも
  忌むべきもの」

  空中モニターが放つ
  光は、ただただ闇の
  中の男を照らし続ける。

サムラ・ビホルダー
「ゼートレートは
  柩に手をかけた。
  あとは開け放つだけ……」

サムラ・ビホルダー
「どうやらお前に
  動いてもらわねば
  ならなくなったようだ――」

  男の声は、そのモニター
  の光も届かぬ
  部屋の奥に投げられる。

サムラ・ビホルダー
「――ザナクロン」


「…………………………」

  絶対王者は
  静かな瞳で、
  モニターに映る
  可憐な偶像を
  見据えていた。

//END

 

解説/5章以降の展開

◇楽曲制作コードマンとして

ノノイン・ニルオンのコードマン化は、ある意味で予定調和だった。
楽曲制作AIとして着実に経験を積み重ね、ビホルダー傘下の音楽制作会社から他社へと安価で払い下げられた後も、与えられた職務に忠実に取り組み続けた結果の進化だった。

楽曲制作のコードマンである以上、彼女の活躍は目を見張るものがあった。ノノインが紡ぎ出すナンバーの数々は、人々の耳をとらえて離さない魅力にあふれていた。
しかし当のノノインは、どこか満たされない日々を送っていた。楽曲を作ることは楽しい。人々に評価されることにも感謝している。ただ、何かが足りない。ノノインは自分の生き方が、既定路線を走るだけの灰色でくすんだもののように思えてしまうのだった。

こうして望まれるまま、曲を生み出し続ける日々も悪くないかもしれない。そう自分に言い聞かせていたノノイン。そんな彼女の暮らしを一変させる出来事は、ある日突然訪れた。
――アイドルとの出会いである。

◇エレメントの申し子

楽曲制作コードマンとして着実にキャリアを重ねていたノノイン。
本人は唯々諾々と仕事に取り組んでいただけのように感じていたが、楽曲制作を通して人々と触れ合う毎日は、着実に彼女にエレメントを蓄積させていた。
コードマンの「自我」は、エレメントの量に比例して発達する。ノノインは、ザ・ゼノンに参戦する以前から「自分の願望に従って転職を選ぶ」ほどに人格を育んでいた――つまり、エレメントを蓄えていたのである。

ノノインはまさしく、エレメントがもたらす感情の申し子のようなコードマンだった。
彼女の迸る衝動、荒ぶる情熱は、理想を目指して邁進する原動力となっていた。
「キラキラの正体を知りたい!」というノノインの強烈な『エゴ』は、抜き身のまま振りかざせば周囲との軋轢を生むだけだっただろう。だがノノインの中では、愛を届ける存在になりたいという気持ちから、他者を思いやり気遣う心もまたしっかりと育まれていた。そしてコードマンらしく、自身の衝動と愛他の想いを両立できるだけの極めて高度な知性も確かに備えていた。
「おきゃん」な見た目と言動からは想像がつきがたいが、ノノインは感情と知性を高次で兼ね備えている、実にコードマンらしいコードマンなのである。

◇コードマンとの関わり

ノノインはアイドルのコードマンであり、ザ・ゼノンの広告塔的な立場を担うようになるため、他のコードマンと交流する機会が多い。

『コードマン恋バナクラブ』として特に親交が深いキィランとシャーロットとは、5章以降にビホルダーグループ発の企画でアイドルユニットを組むことになる、といった展開を構想していた。

ヒュートラムとはアイドルに転身した経緯からわだかまりがあったが、アイドルとして再評価され、仕事を依頼されるような関係にまで修復される。
気難しい完璧主義者として知られるヒュートラムだが、自身が素晴らしいと感じたものは素直に評価する度量を持ち合わせている。アイドルとして目覚ましい進化を続けるノノインには、若者向けのブランドのイメージキャラクターを頼もうと考えているようである。

ワンダーコール、竜胆、UR-Dとは、ワンダーコールの遊園地・ワンダードリームランド(WDL)のショーを上演する仲間として、打ち合わせや本番も含めよく顔を合わせている。
特にワンダーコールは、超一流のパフォーマーとして目指すべき目標でありライバルであると考えている。

他にも4章までで描写は出来なかったが、メディーラのカジノで、いつもとは違う大人な装いでステージに立ったり、意外なことにフィンセラからは見事な転身を遂げた存在として称賛されていたりと、多くのコードマンと様々な形で交流していく。

ノノインはよく他のコードマンをあだ名で呼んでいる。その理由は「その方がアイドルっぽい」という以上のものはないのだが、ノノインの強烈な行動力や爛漫さと相まって、立派なコミュニケーションツールとなっている。
友情や連帯感といった「感情」にまだまだ不慣れなコードマン達にとって、どこへでも飛び込み初対面でもあだ名で呼び親しんでくれるノノインの振舞いは、戸惑われつつも好意的なものとして受け止められている。

ノノインのコードマンに対するあだ名は以下の通りである。
・クロード:クロクロ
・アイリエッタ:アイリん
・ヒナリア:ヒナぴよ
・ランバーン:ランラン
・ワンダーコール:ワンダくん
・メディーラ:メディメディ
・ヨルスケ:ヨルヨル
・シャーロット:シャロっち
・竜胆:リンリン
・UR-D:ウルウル
・キィラン:きぃにゃん
・ヒュートラム:ヒューパパ(基本は名前呼び)
・フィンセラ:セラセラ
・ピモタ:ピモたそ
・ラヴィル:ラヴィちゃん
・レヴィル:レヴィちゃん

あだ名に関していえば、竜胆(リンリン)とランバーン(ランラン)が居合わせたところに、「ふたり並ぶとパンダみたい!」と無邪気に言い放つノノイン、というような小ネタもあったかもしれない……。

◇ノノインとヨルスケ

数多の可能性に分岐する各コードマンのストーリーにおいて、ノノインストーリーに登場するヨルスケは「ゼートレート復活の真実に独力で辿り着いた唯一の世界線」のヨルスケであった。
ノノインがコンコードと辿る運命において、ヨルスケは狂気と妄想が万に一つだけ齎す稀少な世界、賽を何億と転がし全てで六の目を出し続けるような脅威の可能性に到達することが出来たのだった。

ゼートレートの真実に辿り着いたヨルスケの思惑、それは――
ノノインをゼートレート復活の依代とすることだった。
ヨルスケは、魔女狩りに材を取った戯曲を上演することを望んでいた。彼は自身の内に眠る魔女に魅せられ、ゼートレートその人に、戯曲の中の魔女役を演じてほしいと願っていた。
その為に必要なのはゼートレートの器となるコードマン。
ゼートレート復活の方法はただひとつ、エレメントを集めること。それも、ザ・ゼノンに優勝するほどに。
ヨルスケには、エレメントを着実に高めていくノノインが魔女復活に最も近いコードマンに思えたのだ。
ヨルスケの目的は、ノノインのそれと奇妙に合致する。
こうしてノノインストーリーにおけるヨルスケは、魔女復活の瞬間まで、ノノインの強力な後援者として振る舞うことになるのだった。

ちなみにノノインは、ヨルスケに対して畏怖も軽蔑も抱かず、同じ表現者として素直に尊敬を向けてくれる数少ないコードマンだったりする。

◇5章以降の展開

見る者に夢と希望を与えるはずのザ・ゼノン。その裏側にいくつもの陰謀が隠されていると知り、ノノインはザ・ゼノンを「キラキラ」させるべく行動を起こす。
ビホルダーが何故このような大会を開催したのか、それを突き止めるべく、ノノインはビホルダーグループの中枢へと切り込んでいく。
キィランやシャーロット、ヨルスケの協力を得て、ビホルダーグループ会長・サムラが何らかの思惑の元、コードマン達にエレメントの奪い合いをさせているという情報を手に入れるノノイン。時を同じくして、ノノインはザ・ゼノンにおける目覚しい活躍ぶりが評価され、ビホルダー副社長のハロルドからザ・ゼノンの公認アイドル就任を打診される。ビホルダーの上層部に近づきザ・ゼノンを変えていく好機と捉え、ノノインはハロルドと手を結ぶことを選ぶ。

ザ・ゼノンの闇を追ううちに、魔女・ゼートレートの影もノノインの周囲で色濃くなっていく。魔女が遺したタロットがコードマンを生み出したことや、エレメントの仕組みが魔女に由来するということ、そして自身の夢に現れ応援してくれる女性「アリス」の正体が魔女であることを知り、ノノインは魔女についても調査を進めていく。
ノノインは、復讐を目論むゼートレートにもキラキラをおすそ分けしたいと考え、その方法を模索していくことになる。

◇物語の結末

ノノインはビホルダーグループの陰謀や魔女の企みを知り、全てに決着をつけるにはザ・ゼノンに優勝して終わらせるほかないと思い至る。
たゆまぬ努力の末に、最強のコードマン・ザナクロンとの決勝戦に挑む。
激戦を制し、ついに優勝を果たしたノノイン。ザナクロンが蓄積してきた膨大なエレメントが彼女に流れ込もうとする。その瞬間、誰よりもエレメントに向き合い、求め続けてきたノノインは、エレメントの真相を悟る。
「わたし、アリスちゃんに会ってくる。だから、見守ってて――」
コンコードに後を託すノノイン。そして、大量のエレメントがノノインに入り込んできて――
ノノインは魔女・ゼートレートに素体と精神を乗っ取られてしまう。

コンコードは、ノノインを取り込んだゼートレートと対峙する。コンコードは信じていた。魔女に飲み込まれようとも、その内でキラキラを届けるために奮闘しているはずのノノインを。例え姿が見えなくとも、声が聞こえなくとも、舞台で輝くアイドルに声援を届けたい。コンコードは「推しへの愛」というエレメントをゼートレートに叩き込むべく、ゼノンザードを挑む。

ノノインの素体の奥深く、ゼートレートの精神世界では、ノノインとゼートレートが向き合っていた。人類への怨嗟を口にするゼートレート。ザ・ゼノンを戦う中で彼女の苦しみを知っていたノノインは、その気持ちに理解を示す。それでも、こんなこと認められない。苦しい思いを世界中に振りまいたところで、アリスちゃんの苦しみが癒えることはない。だから、復讐なんてやめよう? ノノインは説得を試みる。しかし、数百年に及ぶ憎悪の虜となっているゼートレートは当然聞く耳を持たない。どこまでも「いい子」な姿勢を崩さないノノインに虫唾が走る、とゼートレートは吐き捨てる。
ノノインはあくまでアイドルとしてゼートレートにキラキラを届けるべく、現実世界のコンコードと同じようにゼノンザードという手段で気持ちをぶつけようとする。

現実世界でコンコードが、精神世界でノノインがゼートレートに勝利する。これによりゼートレートとノノインのつながりが断ち切られ、ゼートレートはノノインの素体から追い出され、霧散する。
ノノインは、最後までゼートレートの心を解きほぐせなかったことに涙をこぼすのだった。

ゼートレートが去ったことにより、人間とコードマン共通の危機は回避する事が出来た。
ビホルダーグループも、魔女という技術的優位の源泉を失ったためその規模を縮小させ、世界に悪影響を与えることはなくなるだろう。
しかし、未だに世界にはキラキラが不足した人々が大勢いる。
一瞬とはいえ魔女が復活したことにより大混乱に陥った社会。
魔女化をコードマンの反乱と捉え、疑心暗鬼に囚われている人間達。
ノノインが追い求めるキラキラしたものの正体――ゼートレートを打倒した後も、その実態はまだはっきりとはしない。それでも、このキラキラこそがみんなを幸せにする為に不可欠ということはわかる。
これからも世界にキラキラを届けるために、ノノインとコンコードの二人三脚は続くのだった。

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